
オーストラリアで開かれた、というか、オンラインで開催されて、オーストラリアの高等教育機関が参加したTertiary Education Quality and Standards Agency(高等教育品質基準局)主催のシンポジウム「TEQSA 2021」に参加した。
元々は各校の学生代表を対象に数枠提供された参加資格だったが、その後全学生に開放されることになり、僕は僕で学生代表として有料枠の割り当てを受けていたのだが、結局は無料枠に切り替わって参加することになった。参加者は千人以上という話なので、大した規模だ。もちろん、みんなオンラインなので、出席しやすい部分もあったろう。こうして日本から顔を出す学生もいるのだから、便利な時代になったものだ。
パネラーにはオーストラリア全土のさまざまな学校から担当教員や担当副学長が参加し、一部には留学生も参加していて、それぞれに意見を述べていたのだが、やっぱり基本的な問題から目を逸らしているような気がしてならなかった。それは、何もかもが「COVID」をネタに議論されていたからだ。
オーストラリアの教育機関の経営問題は、COVIDは確かに引き金になったが、それが本質ではない。根本には、そのクオリティと留学生依存の財務体質がある。そこを無視しては、改善など望めるはずもないし、タチの悪い大学の留学生にタカる体質も改善などされない。
僕がコメント欄でその問題を遠慮なく書き立てたら、司会者も取り上げてくれたのだが、質問を受けた講演者は回答を避けてしまった。既得権益のなせる技だろうか、やはりこの体質は変わらないのだろうなと感じた。
オーストラリアの教育は、クオリティの改善と財務体質の強靭化(特に内需による財務条件のクリア)が急務となっていると言える。いつまでも留学生に頼っているようでは本末転倒であるし、これではもしもどこかの国に学生をストップされたら、それこそ相手の言いなりにならざるを得ない。元々無償だった時期もあるのだから、コロナで状況が激変した状況を利用して(実際していると思わざるを得ない面もある)、現在のたるんだ局面の建て直しを図るべきだろう。今の政府の動きは、まさにその改革の動きにも見えるのだが、まだまだ鞭を打つべき場所は残されている。
オーストラリアの教育関係者はよくよく考えるべきだ。この危機が来なければ、この国の教育はジャブジャブの外貨の中で廃れるばかりで、日本人が何倍もの学費を払ってわざわざ乗り込む価値など皆無になってしまっていたのだと。一学生としては、このチャンスをバネに、オーストラリアの教育機関全体がオリジナリティあふれる教育を取り戻してくれることを願ってやまない。
コメントを残す