もう1つのコースト。

©︎2020 Dreamtime Graffiti

 とは言ってもホロコーストとか物騒なものではない。海岸の方だ。日本語はややこしい。

 今日は往復八時間かけて、ゴールドコーストではないもう一つの「コースト」である「サンシャインコースト」までのこのこ出かけてきた。

 今日の目的は、このカンガルー大学、じゃなくてキャンパスでカンガルーに出会える「サンシャインコースト大学(USC)」の知人を訪ねる為だ。

 乗り換えを重ね、疲れでボロボロになりながら、多分一番近いであろうランドボロー駅に降り立った瞬間の感覚は、日本の田舎の無人駅のそれそのものだった(ちなみにクイーンズランドは長距離列車もトラムも「改札機しかない無人駅」だらけなので、車内でよく検札員が巡回している)。バスに乗る時の感じも同じような感じだ。ただ一つ違ったのは、ここは同じクイーンズランドと言うことで、GoCardが使えることだ。ここまで来るのになんと10ドルかからないのだから、変なところが安いこの国の不思議さに更に磨きがかかる。

 バスが駅を出たタイミングで土砂降りに襲われたのだが、どうも途中の区域だけ降っていたようで、学校に着いたら晴れていた。山の天気は・・・いや、本当に山と言っていいような地域を切り拓いて作った学校なのだ。

 1996年開学なので、まだ25年目。流石にランキングも全然上がってきていないのだが、講義の質や学生の満足度では色々賞を貰うべく頑張っているらしい。現にパンフレットをもらってみると、背表紙にはずらりとファイブスターが並んでいる。日本人も少しはいるらしい。でも、そういう留学生というのは、よくよく考えるとマニアックな選択をする強者だと思う。別にブランドがあるわけでないが、もしかすると名物の看護や動物医学などに引き寄せられてくるのかも知れない。キャンパスで出会えるカンガルーを魅力と捉える学生もいるだろう。

色々なファイブスター。

 ここにきて「留学する中年」として考えてしまった。英語圏への留学を志したとして、オーストラリアから帰ってどれだけその価値をわかってもらえるのだろうか。日本人など、知っていたとしてもハーバードやスタンフォード、よくてMITをあたりまでが関の山であり、メルボルンであろうが、グリフィスであろうが、ボンドであろうが、サンシャインコーストであろうが、そんなものは「オーストラリアの大学なのね」でおしまいだ。後は永住権や国籍を目的にするにしても、この学校の卒業証書は使えるし、仕事に当たってなんの支障もない。逆にこの地域は人が少ないから歓迎されるだろうと思う。なので、正直「のどかでいい大学だなあ」という思いを抱きながら学校を歩いていた。ひなびた感じもあったが、全部のキャンパスを見たら感覚も変わるのだろうと思いつつ、日本人好きしそうなスタイルの建築を眺めた。聞けば、学費も多分一番お得らしく、留学先としては大アリだと思う。

やっぱりいるらしい。

 行く前に散々カンガルーが出没するといわれていたので、少し楽しみにしていたものの、いなかった。いや、「今日はいなかった」っぽい。「結構出会えてるけどなあ」と言われたのでちょっとだけ期待してしまったのだが、残念だった。その代わりに目についたのは鳥だった。他と同じく物おじしない鳥たちが、そこら中を駆け回っている姿は、日本では考えられない光景だ。僕の足元でも数羽が集まってピーピー言っていた位で、本当に恐れなどなさそうだ。

甲高い鳴き声があたりに響いていた。

 しばし友人と話をしてから、適当にキャンパスを歩いた。まばらに学生もいるのだが、如何せん学生総数はグリフィスの5分の1、それもキャンパスが6箇所もあるので、まばらにしかなりようがない。そして何より交通の便が悪いので、裏にある私有家屋をレンタルしなければならないようだ。家賃は週270ドルから400ドルだというので、先ほど書いたように学費は一番安いらしいのだが、それでもまあまあな出費になるのだろう。ただ、総額は最安なはずだ。ましてやお金を使うような場所もないのだから(ネットは別だが)。

 そんな情報も仕入れながら、とりあえずバスの時間を確かめ、小腹の求めに応じて軽食を摂る。やはり、鳥はいるがカンガルーはいない。

 いつまでもカン様を待っているわけにも行かないので、食事(あっつあつのフライドポテト)を終え、バスで駅へ戻ることにする。また4時間の旅だと思うと頭痛がしたのだが、バス停へ向かう途中、ふと校内美術館なるものを見つけ、性懲りもなくまたフラりと立ち寄ってしまった。こういう場所に出会うのは、ソウルのイファ女子大以来だ。

 美術館ではサンシャインコーストに住む結構有名らしい先住民芸術家の作品展示をやっていた。そこの入り口でプレゼントの絵葉書を見つけ、思い出したように「大学のノベルティとか売ってないんですか」と聞いたら、「あったんだけど、コロナでみんな閉まっちゃったのよね・・・」と言いながら、「こんなのでよければあげるわ」と、USCのロゴ入りボールペンと先住民芸術展示のパンフレットをくれた。なんだかほっこりした。

MICHAEL COOK氏の作品の数々

 一周したら、バスの時間に近くなったので、美術館を出た。頭痛ついでにもっと頭痛のすることになるとは、その時は思ってもいなかったのだが、結果から言うと、僕はなんと帰りの電車でうっかり乗り越してしまった。一駅違うとかなり違うこの国で、それは死とは行かなくても、確実に「かなりの面倒」を意味する。で、予想通り30分以上をホームで無駄に過ごすことになった。

 乗り越して降りた駅はBowen hills。ブリスベンの外れで、辛うじて最寄り駅まで直通が出ているのだが、関係ない電車がガスガス来ては消えていく。僕の住む街に行く列車は、30分に一度くらいしか来ないのだ。

何両見送ったか。

 ホームを吹き抜けるきつい風に吹かれながら待ち続け、やっと直通の急行に乗り込んだのは、まさにほぼ30分後。体も冷えて、調子を崩すギリギリのタイミングで電車に乗った。出かける時暖かったとは言え、半袖だけで出かけたのは間違いだった。

 ほうほうの体で帰宅したのは9時過ぎ。今日は12時間かけて旅をしてきたことになる。中年の身体には堪えた。

 でも、変に充実した。次はどの学校を見に行こう。どこも遠そうだけど、普通の旅行より面白い気がしてきた。

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