今年(執筆時点・2022年秋)もまた、留学フェアの季節がやってきた。僕は毎年懲りずに応募し、参加することにしているのだが、オーストラリアの留学フェアは、なぜか年を追うごとに劣化していて非常に悲しい思いをしている。
会場形式の時は、問題が目立たなかったか、大勢の利益に合致していたか、お祭りな雰囲気にみんながうれしくなっていたかのいずれかのせいか、一参加者として結構楽しめたものだが、今回はあまりにも面白くなかった。何より、2019年には、私もヘルパーとしてブースに座らせてもらい、色々と知識も仕入れさせてもらったものだ。


かなり前の投稿でも書いているように、会場であれば、会場全体に様々な大学が机を並べ、それぞれの学校に学生が列をなす形で、「えらく賑やかなもんだな」「みんな楽しそうだな」と思ったものだったが、オンラインになった途端、どうも感が狂ったのか、「見せる」プロがいなかったのか、すっかり面白くなくなってしまったのだ。杓子定規に物事を運ぶ、その定規がコロナで崩れてしまった、ということだろうか。そうすると、次の定規を作り出すまでの期間、大きな穴を抱えたまま前に進むことになり、市場を白けさせることになる。さらに、2020年には1度中止されており、今までの流れが止まってしまっているので、今年は巻き返しを図るべきタイミングでもあったのにだ。
ちなみに、「前回」にあたる2021年の回の話は既に書いたが、オンラインブースのような形をとり、資料がダウンロードできたり、ビデオが見られたり、チャットで話せたりと、まあ、「それなりの努力」というか、オフラインに近づけようという意気込みのようなものが見られていた。
しかし、である。豪州政府のオフィシャルイベントである、今回のオーストラリア大使館商務部主催「オーストラリアの今が分かる!留学オンラインセミナー」は、4種類の対象を変えた一方的な説明会になっており、見るからに手を抜いているとしか思えなかった。要は、会場開催時の大使館セミナー(20分もの)そのものだったのだ。これでは各学校の質は見えないし、「今がわかる」とはお世辞にも言えない。さらに問題なのは、本来予定されていた大学・大学院に関する説明会が急遽中止され、その後何もアナウンスがなかった(2023年1月20日現在)点だ。これでは学生があまりにもかわいそうではないか。
セミナーの構成は、まず説明から始まるのだが、それも「オーストラリア良いとこ一度はおいで」みたいなノリで、20分ほどで終了、そのまま現地の留学生にバトンタッチされる。これでは何が何だかわからないし、情報はネットでつかめることばかりだ。そして、その学生たちも、日本語が満足に話せなかったり、一つの学校しか知らないものが多く、本来の留学フェアと比べたら砂漠の砂つぶのような情報量しかなかった。どこで雇ったか知らないが、こちらに回して貰えば、あの倍は情報量を詰め込めただろう。観客もさぞ白けたに違いない。
これが本来的意味合いのフェアならば、最低でも州別・学校種別に分けた説明を加えるだろうし、何がどう違うのか、まずは学制の違いなども説明すべきだろう。そして、エージェントの選別についてや、自分でできること、自分でないとできないところはどこなのかなど、もっと細かい話があって然るべきだ。ネットだからこそ、より詳細な資料と解説が必要であり、DIY的観点からの構成をしなければならないのだが、それが何らなかったのは、視聴者としては非常に残念な形であったと言わざるを得ない。
もとより、留学というのは、どの年代であれ、一人の人間が人生の一部をかけて、さらに欧米であれば巨額の費用の捻出を必要とされる大イベントのはずだ。それをこれほどまでに簡素化してしまうのはどう評価すべきか。関係している職員を一部リアルで知っているので、あまりきついことは書きたくないが、それでも今回はひどかったと思うし、お世辞にも褒められたものではない。
次回はせめて、練りに練った内容のセミナーの実現を期待したいし、できることなら会場版の復活を願いたいところだ。そこに知恵や労力を求められるならば、個人的にはお手伝いもしたいし、もっと学生に寄り添った知識の提供方法について知恵を出させて頂きたいものだ。それはもとより、特殊な時期に渡豪し、帰国を迫られた者として、今後渡豪される学生さんには、後悔も失敗もしてほしくないからだ。その為のエバンジェリストとしてのQEAC+JAOSccである僕を、より良い形で活用して欲しいものだと思う。
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