強欲アパートとの訣別。

オーストラリアの一般的なアパートのファサード。
©️2018-2021 Dreamtime Graffiti

 アパートの退去時に法外な修繕費をふっかけられた。最初からあったカーペットの傷の写真を送ってきて、250ドルよこせと言う。もちろん、やっていないものは認めるわけには行かない。そこでやりとりを繰り返し、関係がかなり険悪になった末の払い戻し交渉は、RTA(住宅賃貸契約局)の仲介で幕を下ろすことになった。もちろんアパート側は取れるだけ取りたいだろうし、こっちはやってもいないものに金は払いたくない。だが、結局どこかで折れる他ない。

 一銭も取れなければ、向こうは向こうで振り上げた拳を下ろすことはできないだろうし、担当者の立場も悪くなり、こちらにしたって時間の無駄だ。もちろん、間に入ったRTAもとばっちりで、そこで通訳まで雇わなければいけないのだから、たまったものではない。そんな気まずいミーティングが、RTAの仲介で持たれた。いくらだコスト。今回は、多分問題になった金額が屁のような扱いになるコストがかかった1時間になって気がする。

 RTAは親切この上なく、日本語のよくできる通訳をつけてくれた。こういうセッションは初めてやるっぽい口ぶりでもあった。通訳の利用は、問題を登録した時点でRTAからかかってきた電話の中で提起されたものだ。そこで僕は誰かを間には挟んで証人を増やしたかったことから、「お願いします」と言って、依頼することにした。これはもちろん無料だ(「お金かかるの?」と聞いたら「かからないから大丈夫よ」と言われた)。RTAはアパートとの間で供託金などを預かる役目を負っており、仮にも公的機関なので、こうした紛争解決にはちゃんとサービスを提供してくれるようだ。もちろん、僕らのボンド(敷金)はRTAの口座に供託されているので、アパートも無碍にはできず、そこで何かの合意に至らなければさまざまな費用がずーっとお預けになるのだから、調停には出向かないといけない立場に追い込まれる。僕はここで生まれて初めてRTAの存在に感謝した。

 僕のいたアパートの管理会社は中国人(話では温州人らしい)が経営する会社で、性格のきつい女性マネージャーが常駐しており、そのキツさでかなりのスタッフが入れ替わっていた。いつも色々付き合っていたスタッフはどんどんやめていたので、こちらも早いところ手を切りたかったことから、今回こちらの理を強調する形でRTAと通訳という証人を作れたのは良かったかと思う。

 細かい話し合いと手続きなので、ここで全てを書くことはできないが、結果として僕は向こうの行った金額の4割を払うことで決着した。それ以上は引きそうになかったし、それ以上時間を書けるのはこちらの時給も無駄だ。ならば適当なところで折れて、取れる金額をもぎ取る方がいい。それに、向こうはなんだかメールの記録やらを色々を調べているようなので、そこにかけている労力位は払ってやろうじゃねえか、という気にもなる。時給で行けば、まあご苦労様な金額には落ち着いたように思う。残った金額は、僕の時給としては少ないが、まあ、学費込みということで落ち着けることにした。間にはいったRTAも、通訳を用意して1時間話すのだから、結構な出費だろう。その辺は、アパートとRTAの関係でなんとかしてもらうことなので、被害者としては、ありがたくその時間とサービスを頂戴しておいた。

 さて、色々揉めた中で、実際に僕は一点だけ相手を黙らせることができるものを持っていた。相手が誰も覚えていないとか、記録がないという中で、僕は相手との会話の録音を持っていたのだ。前回の契約の時に、一つ一つ内容を付き合わせるための会話を電話で録音していたのだ。それを切り出したとき、相手は言葉に詰まっていたので、かなり効いたと感じた。それも、かなり問題の核心を突くポイントが含まれていたので、相手もまずさは感じたのだろう。通訳も的確にMECEに訳してくれたので(実際自分が話した内容なので、まるまる聞いてわかったのが嬉しかったし、好感の持てる訳だった)、この点は同じ通訳として嬉しかった。中国語ならこのくらいできるが、英語ではまだ無理なので、訳出される内容を聞いていて変にハイになった。変態っぽく聞こえるかも知れないが、実際に何か技術を持っていると、中身の判別もできるし、そうも感じるものだ。

 要は、アパートからすれば、本来なら退去時にキャンセル料として取れるはずだった金がコロナのせいで満足に取れなかったので、何かしらケチをつけて余分に請求したかっただけなのだ。それがこういうイミフなイチャモンで出てきたので、こちらも応戦することになったわけだ。誠意など微塵もないので、こちらも誠意などいらないというか、理詰めで行くまでだ。あくまでも、冷静に、感情は出さずに話を進めた。

 そうして1時間、最初要求された250ドルの修繕費は110ドルで落ち着いた。それが、本当に人を呼んで修繕するにしても、せいぜいの原価だったのだと思う(それも部屋の隅っこの瑕疵なので、本当に修繕するかなんかわかったもんじゃない)。そして、僕にとっては、半分以上帰ってくれば、確実に学費の足しになる。もちろん、日本円にして8800円は微かに痛い(教科書2冊くらい買えるし・・・メルカリならもっとかな)が、これ以上消耗するのはそれ以上に損をすることにもつながる。なので、今回はそれで手打ちにした。なにしろ、お金はRTAにあるのだ。なんでも経験だと思って自分を抑えるしかない。それに、万一、億一、再度渡豪することになれば、またRTAにはお世話になるだろうし、不良な記録を残すのはよろしくない。今は予定がなくても、将来どうなるかわからないのだから。

 さて。今回の顛末から考えても、アパート選びはんはやはり慎重になるべきに思う。僕はもうこのアパートには泊まることはないだろうし、そこにゆかりのあるボンドからも遠ざかることになるように感じている。このノリはもう懲り懲りだし、ボンドもボンドで環境(ハード)が素晴らしくても、ソフトはそんなに宜しくない。クソアパートも然りである。

 豪州との相性が良くないということなのだろうか。そうでないことは祈りたいが、先日、渡豪何年にもなる日本人に話を聞いたところでは、ローカルはかなり自己都合でいい加減な面が多いらしいので、そこはさまざまなルールを知り、理論武装した上で、さまざまな契約書を交わさなければいけないことを思い知らされた。前出の既に在豪経験豊富な人も、部屋の契約で最近かなり参ったことになっているという話をしてくれた。その人は英語も僕の太刀打ちできないレベルにある人なので、それでも困るということはよっぽどの事例なのだろう。

 もちろん、中国滞在時とは違う部分の面の皮が厚くなったようにも感じるし、留学崇拝派のいう「現地でしか学べないこと、体験できないこと」という物事の一部でもあるのだろう。だが、こんな無駄な神経戦はすべきではない。相手も準備をした上でこの問題をでっち上げたのかどうかは不明だが、よくもまあつまらん面倒をでっち上げたものだと思う。大学にしても、アパートにしても、日本からしてみたら現地のトンデモな神経がよくわかる例だったように感じる。今回の収穫は、RTAが想像外にまともだった、という点くらいだろうか。しかし、それを合わせても、この国への未練は吹っ飛んだし、ボンドへの愛着もかなり薄れた(ビデオの編集が遅れているのも、そのせいかも知れない)。

 学校選びも、アパート選びも(ホームステイでも当たり外れがあり、嫌な思いをしたクラスメイトは多い)、本当に慎重に進めなければならない。ただ、そこは全部スリープテスターがいなければわからないことなので、本当のガイドやとことんわかっているエージェントを探すことは難しいのかも知れない。学校については、僕も11校程母校があるので色々言えるのだが、これにホテルやアパート、ホームステイファミリーまで含んだテスターとなると、この僕をしても結構難しくなってくる。

 嫌な思いをする日本人学生を減らすためにも、いつかそんな職業につけたらなと考えさせられた出来事ではあった。因みに今回の140ドルは、口座を温める間もなく、次の大学の口座に直行した。その分を取り返せるよう祈るばかりだ。

 

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